昭和40年6月、遂にクーラーを搭載したトヨタ ライトバス(RK170B−C)が登場。他メーカーを出し抜いて、このクラスのバスでは初めてクーラー搭載を果たしました。クーラー駆動用サブエンジンとして採用されたのはU型、つまり700tのパブリカのエンジンです。クーラー駆動用サブエンジンとしては800tのしかもフルフローエンジンの方が印象が強いので、意外に思うかもしれませんが700t、当時10パブリカに載っていたエンジンをパワーソースとしています。
ついクーラー装備というとデラックス化を想像してしまいますが、クーラー搭載のライトバスをより一般化するつもりであったようです。そのためには価格は抑えなければいけない。ということで、サブエンジンはもちろん、その他の機器も他車で当時使われているものを流用しています。コンプレッサーとオルタネーターはクラウン用、クーラーユニットはクラウンエイト用を使っています。新設したのはクラッチハウジングとメインドライブシャフトと言った駆動系の部品です。
普通のライトバスが25人乗りであるのに対して、クーラー付は21人乗りを標準のシート配置としています。この4人の定員減は何を意味するかというと、最後席の4人分のシートを撤去し、クーラーユニットを搭載したためです。またクーラーユニットの一角にクールボックスを設けているのはいかにもトヨタらしい。缶ジュース(250ml)なら50本、缶ビール(350ml)ならば24本は楽に入れられるものである。カタログの文句を借りるならバス旅行がいっそう楽しいものになるそうです。クーラーを装備のため車両重量が350s増したが定員が4名減っているので、車両総重量(つまり乗車定員いっぱいの重量)が130s増にとどめている。概観上の特徴は、屋根の中央部分に冷気のダクトを設けているために、屋根に背骨がついたようなハイルーフになっている点である。これさえ覚えておけば、物置になっているライドバスを見つけた時、躊躇なくエンジンが部品取りできます。ただし、現在ではライトバスの物置とか解体車を見つける方が大変かもしれません。
バス旅行がいっそう楽しくなるという冷蔵庫
初めてサブエンジンとなったエンジンはU型エンジンであることは前述した通りです。エンジン自体はパブリカに搭載されたエンジンとなんら変りがない。しかしサブエンジンとなった我らがU型のスペックは10ps/2200rpm時となっています。…おかしい、700ってこの頃のは32psじやなかった?と思った方もいると思います。事実、パブリカの性能曲線を照らして見てもこのスペックは低いのです。実は我らがU型エンジンは、回転数固定で使われていたのです。エンジン、そして補機もパブリカのものを使ってはいるが、パブリカのそれとは微妙に違えてきています。
まず、キャブレター本体はパブリカに使用しているのと同じですがメインジェットをはずしています。すなわち、アイドルとスローポートだけを使用してスロットル全開のままで固定しています。細かいことを言うとパブリカに載せてある時に比べて90度横に向いた状態でインテークマニホールドに付き、エアクリーナーケースの取り付けステーは若干長くなっています。ダイナモとベルトは撤去。面白いところでは、マフラーはスポーツ800のものを流用しています。その他は、クラッチもスターターモーター、イグニッションコイル、クーリングシュラウドもみんなパプリカのものです。